※5月17日追記:このエントリを翌朝読み返して思ったのですが、「業務AP市場の成熟化」と「組込ソフトウェア市場の成長」の話がゴッチャになってるので、分かりづらいですね。
「次にP/Fのレイヤで大きな技術的な変化が起こらない限り、業務AP市場ではそんなに高価・大規模なソフトウェアは売れなくなるだろう。バージョンアップの必然性がなければ買う必要もないし」「ソフトウェア業界全体を見た時、今後一番成長率が高そうなのは組込かなあ」というのが下で言いたかったことです。
ちなみに、最近話題の「Windowsアーキテクチャの64bit化」が企業の大規模IT投資の需要を喚起するものかどうかは、まだ私にはよく分かりません。
業務AP市場、組込ソフト市場がそれぞれどのぐらいの規模で推移しているか、仮説が本当に合ってるのかは、今後徐々に検証して行きます。
公私共にバタバタしてまして、2ヶ月ぶり(!!)の更新となりました。ブログに飽きたわけでも冷めたわけでもないのですが、落ち着いて書く余裕がなかったもので、すみません。
3月末には日本出張し、合間にET研に参加させていただいたり、おいしいもの食べたりして、頭やお腹に栄養を与えてきました。そのほか、SFへ「Evita」を観に行って夫婦揃ってミュージカルにはまったり、Chez Panisseに行ったりしました。Chez Panisseについてはきっと後日アップしますが、ベイエリアで私の最も好きなレストラン確定です。SFへ旅行する方は、ぜひベイブリッジ渡ってでも食べに行ってください。なんといっても、ここの野菜は本当に味がいきいきしていて素敵です。入り口にネギとか野菜を飾るセンスも大好き。
さて、雑談はこのへんで、ブログを休んでいた間ぽつぽつと考えていたことを、まとめておこうと思います。
私の専門は業務アプリケーション、とりわけB2B
Collaboration分野での、①トレンドや成功事例のリサーチ ②その分野でユニークな商品を出している会社とのアライアンスの推進 であるた
め、IT全体に対する洞察としては不適切な点もあろうかと思いますが、遠慮なく指摘していただければと思います。
◆これまでの業務AP市場を振り返って
- 業務APベンダは、標準化が可能な(もしくは、他の会社でも共通しうる)業務をパッケージング化し、多くの会社に売っている
- 業務APベンダを起業した人は、特定業界・業務におけるコンサルティングや実務経験から、「これなら市場がある」「従来製品では、必ずしも顧客の課題を解決しきれていない」と感じたのが契機になっていることが多い(従って、必ずしも会社全体の最適化までを見通しているわけではない)
- エンタープライズ市場(高価で先進的な業務AP、IT投資を行なえる大企業顧客の層)のパイのサイズは一定である
◆今後考えられる方向性
仮説:
- エンタープライズ市場を席巻した有力ベンダの商品を模した安価な商品が出回り(コモディティ化)市場全体を拡大する
- 次に大きなプラットフォームレベルでの技術的イノベーションが起こるまでは、サービス・コンサルティングで稼ぐビジネスモデルへとシフトする(注:ソフトウェアの市場がなくなると言っているわけでなく、IT市場と言った時、サービスの売上の割合が増えるだろう、という意味。)
- あらゆる財のソフトウェア化に伴い、組込ソフトウェアの市場が今後大きな脚光を集めるようになる
疑問:
- 次の大きなプラットフォームレベルのイノベーションが起こるとしたら、それはどこに?誰が中心になる?
- 組込ソフトウェア市場では今、何が課題になっている?それは、従来のソフトウェア開発とは、何が、どう違うのか?
- 組込の世界でも「モジュール化」は進んでいるか?
- ソフトウェアの「モジュール化」の面で遅れている(と思われる)日本の課題は何か?(ソフトウェア産業の技術力、業界構造の面、組織面で)
- サービス・コンサルティングで稼ぐビジネスモデルへシフトする時代に、組織や企業のあり方・戦略・競争力はどう変化するのか?
◆キーワード:「モジュール化」
PC・IT業界に、クラスターや、競争の激化(ドッグイヤー)をもたらした大きな原因が「モジュール化」だと言われている。具体的には、例えばPCの場合、構成要素を、CPUやメモリ等のハードウェア部品、OS等、I/Fを規定した上で分解した結果、各要素はそれぞれ独立して技術革新を行なえるようになったことである。
まだ「モジュール化」について勉強中の段階なので、これは仮説ですが、「モジュール化」は、製品アーキテクチャの設計思想という意味だけでなく、(製品アーキテクチャや市場構造が変わった結果としてかもしれないが、)組織のあり方にも影響を与えたのではないか、と思います。まだうまく説明できないので、私の考えたことに近い、大前研一氏の著書から少し引用します。
最近の急成長企業は、どこの国でも一業に秀でた「専業」が殆どである。たとえば「DELL」は設計だけを自社でやり、部品は最先端で最高のものを世
界中から買い集めてくるという手法を取っている。「ゲートウェイ2000」に至っては、「組立メーカー」と言っても過言ではない。緻密なマーケティングに
よって、消費者が本当に求めているスペックの製品を正確に把握し、世界中から最適な部品を調達してきてそれを組み立てる。自分の社内に部品製造部門を抱え
ていないから最新スペックの製品がリーズナブルに提供できるわけだ。
要するに、いつの間にか「企業」という概念が変わってしまったのである。従来の企業は自分達に能力の限界があったらそこで止まってしまうが、新しい
企業は自分達の能力に限界があったらその分野に優れた他社と合従連衡を組んでそれを補っていくのだ。言い換えれば、自分達が持っている基本的なコアスキル
と、世界一優秀なものを持っている所と連携するアウトソースの二つをうまく組み合わせた「ウェブ型企業」だけが伸びているのだ。(大前研一「ドットコム・ショック」より)
「ウェブ型企業」の例としては、月並みですが、今注目しているのはAmazonとSalesforceです。どちらも、WebサービスのAPIを公開していて、他の会社がAmazonやSalesforceを使って新たなソフトを開発することを推奨(?)しています。Salesforceを基盤とした色々なAPが作られて、それが商売になっている(らしい)のは、Microsoftを見ているような錯覚をおぼえます。