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At Any Cost

20世紀のアメリカで最も長く反映を続けた企業・GE。その歴代CEOの中でもOutstandingだったのは、アグレッシブなM&Aや「集中と選択」という名言に象徴される事業戦略を断行し、企業価値を$13Billionから$500Billionまで押し上げた手腕から、「20世紀最強の経営者」と言われたジャック・ウェルチ。しかし、彼ほど毀誉褒貶の激しい経営者もいなかった。

粉飾決算、贈収賄、放射線被爆社員に対する教育やケアの欠如。GEでは、幹部社員が逮捕されたり、社員から訴えられることが絶えなかった。

「いかなる犠牲を払っても(At Any Cost; 本書の原題)」利益第一の路線を重んじた、ジャック・ウェルチとGEの経営の「負の側面」を描いた意欲的な書です。

ジャック・ウェルチ 悪の経営力
4198610436 トマス・F. オーボイル Thomas F. O’Boyle 栗原 百代

徳間書店  1999-07
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Built To Last

題名は知っているし、聞きかじって内容も何となく知っているが、実は読んだことがない本という感じでしたが、遂にNY旅行帰りに読みました(飛行機の移動が長く時間があったので、空港の本屋で見つけて思わず購入)。BusinessWeekのビジネス本ベストセラーリストに6年連続ランクインしたそうです。

Built to Last: Successful Habits of Visionary Companies (Harper Business Essentials)
0060516402 James C. Collins

Harperbusiness  2002-08-20
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この本がユニークだな、と思ったのは、

  • ビジョナリーな会社を選ぶのに、Fortune 500とInc 500から、製造業/サービス業/公開/非公開などの偏りがでないようにCEOを700人サンプリングして、その人達に「ビジョナリーだと思う会社を5つ挙げてください」とアンケートを取ったところ(調査方法)
  • 単にビジョナリーな会社18社(金メダリスト)を調べるだけでなく、同時代に設立され、当時は同じような事業内容だった会社(銀・銅メダリスト)との比較を行なったところ
  • 会社の歴史全部を振り返ったところ(In Search of Excellence との大きな違いでもある)

ビジョナリー18社(全てが1950年以前に設立された会社。つまり、CEOの世代交代が行なわれており、既に創業者の代ではなくなっている)を観察した結果は色々と述べられていますが、私の印象に残った点は、

  • 創業当時から明確な市場を意識した製品開発を行なっていたわけではない
  • CEOは必ずしもカリスマ的なリーダーシップを発揮していたわけではない
  • CEOは殆どがHome-grownであり、外部から雇い入れたわけではない
  • カルト的な企業文化を有しており、全ての人に対して「Best Place to Work」というわけではない

とりわけ、社長は生え抜きだとか、社員が自分達の会社に誇りを持ち(IBM社員はIBMer, Nordstrom社員はNordieと自らを称す)、朝会では社歌を歌って気合を入れる、等という記述に、実は日本企業ってけっこうビジョナリーなんじゃないの?と思った日系企業人は私だけではないとみた。日本でこの本が流行った理由も納得です。巻末の膨大な分析も面白かったですし、一気に読ませる迫力はあります。

ただ、残念なのは、じゃあどうすればビジョナリーな会社になれるのか、ビジョナリーな会社を作れるのか、は書かれていないことです。

ビジョナリーな会社の経営者はTime tellerではなくClock builderだった、という結論は、表現として非常に分かりやすいですし、自分の時代を超えても組織が残り続け、世の中に良い価値を付けて行ったら素晴らしい、というメッセージには共感します。ただ、その結論が、組織や創業者の具体的な振舞いやマネジメントを考察した結果導き出されたもの、というよりは、その組織が世代交代しても元気だから、「ゆえに創業者はClock builderだった」と結論付けているように(少なくとも私は)感じました。もしかしたら私の読み方が浅いのかもしれませんが。

・・・とまあ、期待していた分、やや辛口評価になりましたが、この本の価値は、ビジョナリーな会社というものを定義付け、世の中に良い意義を付けて行く会社こそが生き残って行くんだ、というメッセージを提示したことで人々に夢と希望を与えた というところにあるのだろうと思います。あと、タイトルやClock builder等の表現が非常にキャッチーで分かりやすいので、色んなところで使われているという面で「ハイインパクト」な本である、という言い方もできます。素晴らしいマーケティングセンスです。(誉め言葉)

そういう意味で、多くの人に支持される理由は良く分かりますので、続編のGood to Greatにぜひ期待したいと思います。

Good to Great: Why Some Companies Make the Leap... and Other's Don't
0066620996 James C. Collins

Harperbusiness  2001-10-16
売り上げランキング : 6,799
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それとBuilt to Lastほど一般的な人気はないと思うのですが、同様に会社の歴史を紐解いて、組織マネジメントの歴史、とりわけ「事業部制」という新しい組織がなぜ生まれたのかを分析している経営書、という点で、「組織は戦略に従う」にも期待しています。こちらはかなり古典ですし、今日的な課題に即しているかどうかは分かりませんが。

組織は戦略に従う
4478340234 アルフレッド・D・チャンドラーJr. 有賀 裕子

ダイヤモンド社  2004-06-11
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品質崩壊

日経ビジネス(2005年4月25日・5月2日合併号)の特集は「品質崩壊」でした。

以前紹介した、InformationWeekの記事で、GMでは自動車製造コストに占めるソフトウェアの割合が1/3にも達している、というのが、トヨタでも同じ状況だということが分かりました。

ただ、日経ビジネスで言われているように、ソフトウェアの品質管理が、プロジェクトの規模拡大に伴ってますます大変になっている、というのは理解・納得できるのですが、(くどいようですが)本当にソフトウェアの品質がハードウェアに比べて悪いのかどうかはやっぱりまだ腑に落ちません。ハード不良とソフトのそれとを比較可能なメトリックスは、何かあるのでしょうか???

ちなみに、自動車とソフトウェアの品質・生産性を比較するのであれば、

自動車というと製造工程に脚光が浴びがちなのだが、実はむしろ製品開発工程との比較において語るべきではないか

というダンナの意見に私は賛成です。自動車は、いったん仕様が決まったものを、鉄などのメディアに繰り返し落としこんでいく、量産のプロセスが競争力に与える影響が大きいという点で、ソフトウェアの製造とは違うと思うので。

以下は日経ビジネスのメモ。

  • 最新機種の携帯電話のプログラムは500万行。チェック項目は50万以上。1985年の第3次オンラインシステム(銀行)に匹敵する規模。ちなみに、iモード以前の1998年に比べると約12倍。
  • 「走るソフトの固まり」トヨタのハリヤーハイブリッドは1000万行以上のプログラムを搭載。同社最大。開発要員は約200人(最盛期)で2年間掛けて開発した。70~80年代にかけてエンジン制御が電子化されてから、自動車製造にソフトウェアが登場するようになった。
  • アメリカの部品サプライヤ・デルファイによると、1990年からの10年間でソフトは10倍に増え、2007年には33倍以上にまで膨れ上がると予想されている。
  • トヨタは2004年9月「JASPAR」を立ち上げ。業界ソフト開発のプラットフォームの共通化を狙う。
  • 下請構造の多階層化、そしていい加減な仕様、品質管理の甘さから、崩壊寸前の状態にある開発プロジェクトが多数。

課題意識を整理する

※5月17日追記:このエントリを翌朝読み返して思ったのですが、「業務AP市場の成熟化」と「組込ソフトウェア市場の成長」の話がゴッチャになってるので、分かりづらいですね。

「次にP/Fのレイヤで大きな技術的な変化が起こらない限り、業務AP市場ではそんなに高価・大規模なソフトウェアは売れなくなるだろう。バージョンアップの必然性がなければ買う必要もないし」「ソフトウェア業界全体を見た時、今後一番成長率が高そうなのは組込かなあ」というのが下で言いたかったことです。

ちなみに、最近話題の「Windowsアーキテクチャの64bit化」が企業の大規模IT投資の需要を喚起するものかどうかは、まだ私にはよく分かりません。

業務AP市場、組込ソフト市場がそれぞれどのぐらいの規模で推移しているか、仮説が本当に合ってるのかは、今後徐々に検証して行きます。


公私共にバタバタしてまして、2ヶ月ぶり(!!)の更新となりました。ブログに飽きたわけでも冷めたわけでもないのですが、落ち着いて書く余裕がなかったもので、すみません。

3月末には日本出張し、合間にET研に参加させていただいたり、おいしいもの食べたりして、頭やお腹に栄養を与えてきました。そのほか、SFへ「Evita」を観に行って夫婦揃ってミュージカルにはまったり、Chez Panisseに行ったりしました。Chez Panisseについてはきっと後日アップしますが、ベイエリアで私の最も好きなレストラン確定です。SFへ旅行する方は、ぜひベイブリッジ渡ってでも食べに行ってください。なんといっても、ここの野菜は本当に味がいきいきしていて素敵です。入り口にネギとか野菜を飾るセンスも大好き。

さて、雑談はこのへんで、ブログを休んでいた間ぽつぽつと考えていたことを、まとめておこうと思います。

私の専門は業務アプリケーション、とりわけB2B Collaboration分野での、①トレンドや成功事例のリサーチ ②その分野でユニークな商品を出している会社とのアライアンスの推進 であるた め、IT全体に対する洞察としては不適切な点もあろうかと思いますが、遠慮なく指摘していただければと思います。

◆これまでの業務AP市場を振り返って

  • 業務APベンダは、標準化が可能な(もしくは、他の会社でも共通しうる)業務をパッケージング化し、多くの会社に売っている
  • 業務APベンダを起業した人は、特定業界・業務におけるコンサルティングや実務経験から、「これなら市場がある」「従来製品では、必ずしも顧客の課題を解決しきれていない」と感じたのが契機になっていることが多い(従って、必ずしも会社全体の最適化までを見通しているわけではない)
  • エンタープライズ市場(高価で先進的な業務AP、IT投資を行なえる大企業顧客の層)のパイのサイズは一定である

◆今後考えられる方向性

仮説:

  1. エンタープライズ市場を席巻した有力ベンダの商品を模した安価な商品が出回り(コモディティ化)市場全体を拡大する
  2. 次に大きなプラットフォームレベルでの技術的イノベーションが起こるまでは、サービス・コンサルティングで稼ぐビジネスモデルへとシフトする(注:ソフトウェアの市場がなくなると言っているわけでなく、IT市場と言った時、サービスの売上の割合が増えるだろう、という意味。)
  3. あらゆる財のソフトウェア化に伴い、組込ソフトウェアの市場が今後大きな脚光を集めるようになる

疑問:

  1. 次の大きなプラットフォームレベルのイノベーションが起こるとしたら、それはどこに?誰が中心になる?
  2. 組込ソフトウェア市場では今、何が課題になっている?それは、従来のソフトウェア開発とは、何が、どう違うのか?
  3. 組込の世界でも「モジュール化」は進んでいるか?
  4. ソフトウェアの「モジュール化」の面で遅れている(と思われる)日本の課題は何か?(ソフトウェア産業の技術力、業界構造の面、組織面で)
  5. サービス・コンサルティングで稼ぐビジネスモデルへシフトする時代に、組織や企業のあり方・戦略・競争力はどう変化するのか?

◆キーワード:「モジュール化」

PC・IT業界に、クラスターや、競争の激化(ドッグイヤー)をもたらした大きな原因が「モジュール化」だと言われている。具体的には、例えばPCの場合、構成要素を、CPUやメモリ等のハードウェア部品、OS等、I/Fを規定した上で分解した結果、各要素はそれぞれ独立して技術革新を行なえるようになったことである。

モジュール化―新しい産業アーキテクチャの本質
青木 昌彦 安藤 晴彦

東洋経済新報社 2002-02
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まだ「モジュール化」について勉強中の段階なので、これは仮説ですが、「モジュール化」は、製品アーキテクチャの設計思想という意味だけでなく、(製品アーキテクチャや市場構造が変わった結果としてかもしれないが、)組織のあり方にも影響を与えたのではないか、と思います。まだうまく説明できないので、私の考えたことに近い、大前研一氏の著書から少し引用します。

最近の急成長企業は、どこの国でも一業に秀でた「専業」が殆どである。たとえば「DELL」は設計だけを自社でやり、部品は最先端で最高のものを世 界中から買い集めてくるという手法を取っている。「ゲートウェイ2000」に至っては、「組立メーカー」と言っても過言ではない。緻密なマーケティングに よって、消費者が本当に求めているスペックの製品を正確に把握し、世界中から最適な部品を調達してきてそれを組み立てる。自分の社内に部品製造部門を抱え ていないから最新スペックの製品がリーズナブルに提供できるわけだ。

要するに、いつの間にか「企業」という概念が変わってしまったのである。従来の企業は自分達に能力の限界があったらそこで止まってしまうが、新しい 企業は自分達の能力に限界があったらその分野に優れた他社と合従連衡を組んでそれを補っていくのだ。言い換えれば、自分達が持っている基本的なコアスキル と、世界一優秀なものを持っている所と連携するアウトソースの二つをうまく組み合わせた「ウェブ型企業」だけが伸びているのだ。(大前研一「ドットコム・ショック」より)

4093896054 ドットコム・ショック―新旧交代の経済学
大前 研一

小学館  2000-03
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「ウェブ型企業」の例としては、月並みですが、今注目しているのはAmazonとSalesforceです。どちらも、WebサービスのAPIを公開していて、他の会社がAmazonやSalesforceを使って新たなソフトを開発することを推奨(?)しています。Salesforceを基盤とした色々なAPが作られて、それが商売になっている(らしい)のは、Microsoftを見ているような錯覚をおぼえます。