味の落ちたベト麺屋
SONYのCEOに非エンジニアのアメリカ人が就任

Chinese telecom companies come calling

PC製造業にみるバリューチェーンの変化と海外アウトソーシングというエントリでは、PC業界で中国や台湾のEMS/ODMが設計や製品開発に進出していること、民間企業がリードするアメリカのR&Dでは、テレコム業界企業のR&Dに対する投資額が下がっていることをご紹介しました。これらから推察できることかもしれませんが、中国のハードウェアベンダがグローバルテレコム市場におけるプレゼンスを増しているようです。

Electronic Business - Chinese telecom companies come calling - 2/1/2005 - Electronic  Business - CA499134
http://www.reed-electronics.com/eb-mag/article/CA499134?industryid=2112

ここでは、Huawei Technologiesを中心に紹介されています。

Sales outside China went from close to zero in 2000 to $1.1 billion in 2003 and were expected to reach $2 billion in 2004. Total sales have grown by more than 40 percent for each of the last two years, even as the global telecom equipment market has shrunk and dragged Alcatel

既に2004年は売上$2billion、2005年はアメリカやヨーロッパでの業績の伸びが見込まれるため、更に二倍の売上を予測しています。

また、この記述だけを鵜呑みにするのは危険でしょうが、もし↓が本当だとすると、

FiberHome Technologies Group, a commercial arm of a Chinese national research center that makes optical fiber cables and gear, gained major contracts last year in India, Iran and Australia. And analysts say that the next Chinese company likely to branch out into the global market is Harbour Networks, founded by former Huawei employees to develop next-generation data networking equipment.

産学連携や、大企業からのスピンアウトによる起業といった、シリコンバレーモデルに近い生態系が既に中国には育まれつつあるという見方もできるかもしれません。

それから、これまでは中国の工業製品と言うと、「安かろう悪かろう」模倣品という文脈で語られることが多かったかと思います。ハイテクの世界では、新商品が出ると、18ヶ月で中国のメーカーが同程度の品質の商品を、1/6~1/10の価格で投入できるようになった、つまり、中国ベンダよりも価格競争力のない先進国のベンダは、18ヶ月以内に次々イノベーションを起こしていかなければ競争力を維持できないという話を夫から聞いたばかりですが、更には、製造工程の効率化・模倣だけに留まらず、近年はR&Dにも非常に力を入れているとのこと。その人件費の安さから、欧米資本の企業も、R&Dの拠点を中国に移すことが増えてきています。

The Huawei threat comes not from low-cost manufacturing—which is now a given throughout the industry—but from low-cost engineering. Huawei has an R&D work force of more than 10,000 people, many of whom have master's or Ph.D. degrees and whose  salaries are one third to one fifth those of their Silicon Valley counterparts. Thus, many multinationals are lowering their R&D costs by setting up operations in China, say analysts. "There's no question that foreign vendors are locating more and more R&D here," says Beijing-based consultant Natkin. Nortel now has more than 1,000 engineers working on research and development in China—about one fifth as many as at its R&D headquarters in Ottawa, according to the company. Lucent Technologies opened a 3G R&D center in Nanjing in September 2003 and announced plans to expand it last fall. Also last fall, Juniper Networks announced that it would soon open a research and development center in Beijing.

Nokia will have 40 percent of its worldwide handset R&D based in Beijing

しかし、依然として残されている中国ベンダの第一の課題はブランド力、

Because U.S. and European consumers may not recognize the Huawei brand name, the company will concentrate on selling to mobile operators that will resell the handsets under their own name or will cobrand them with Huawei, says Lee.

第二が、中国以外におけるディストリビューションのようです。しかし、後者は3Comとのジョイントベンチャーで補完しており、2004年だけで、そのジョイントベンチャーは$300millionを売上げ利益を出しています。しかし、3Com本体の売上は急速に落ちており(1999年は$5.2billion→2004年は$698million)元々どういう分野で強みがあったのか知らないので、理由が分かりませんが、いずれHuaweiに買収される可能性もあるだろうというアナリストの予測が紹介されていました。

Huaweiにとって直接的な競合には当たらないのかもしれませんが、ネットワーク機器と言えば外せないプレイヤーであるCiscoについては、Chambersのコメントが紹介されています。

Cisco has over the last couple of years acquired 14 companies involved in network security. And as for service, Chambers intends to take Cisco from just selling networking equipment to helping customers figure out how to use new networking capabilities to boost productivity and the bottom line. "We will be not just a vendor but a trusted business advisor as well," he told the analysts.

Ciscoは元々、"R&D"の"R"にはそれほど力を入れず、他のベンチャーを買収して製品ラインナップを拡大するのが得意な会社として有名ですが、このメッセージは、かつてLouis GerstnerがIBMをサービスの会社に変革したことを彷彿とさせます。

通信業界におけるイノベーション、ゲームのルールが変化して来たことの一つの表れかもしれません。

Comments

/m

こんにちは。
シリコンバレー/ネットワーク業界で働いています。

Huaweiもとい中国ベンダーについて考える場合、Reverse EngineeringとIntellectual Propertyの問題にアドレスする必要があります。
ここ数年、ネットワーク機器は急速に進化し、さまざまな処理をASIC上で行うことができるようになりました。これにより、高速化と低価格化の両立が可能になりましたが、一方でASICのReverse Engineeringとコピー製作という問題も発生したのです。
3Comは、安価かつ比較的高性能なスイッチ製品で、主としてエンタプライズ市場で大きなマーケットシェアをとっていましたが、このASIC戦争で、台湾・中国ベンダーに敗れました。Dellがそういった台湾・中国製品をOEMしたことにより、3Comの持つブランドに対抗しながら、価格・デリバリーという点で差別化が可能になったのです。

今後のネットワーク製品市場を考える上で、キャリアによるアウトソーシング(Managed Service)の可能性を描くことが重要になります。
Ciscoは、IBMのように直販主体ではないので、IBMのようなサービス事業への転換は模倣できません。各セグメントごとに、明確なビジョンを描き、トータル ソリューションをどのパートナーと構築するかが鍵になるでしょう。その際に、ネットワークとアプリケーション両方を考えることのできる人材が、次の時代を作っていくと、個人的には考えています。

Tomomi

/mさん、こんにちは。
レスが大変遅くなりましたが、鋭いご指摘、ありがとうございます。

私はキャリア側からネットワークをみることが多いのですが、
おっしゃる通り、最近は、どのアプリケーションを使うか予め想定した上で
「これ」と通信サービスを指名買いする企業ユーザが増えてきているようです。
従って、企業ユーザが、通信サービスを買う場合のプライマリのコンタクトは、
通信キャリアでなく、SIerになるケースが増えてきています。
(日本もアメリカも)

ただ、これまで私は、このような通信サービスに対するDemandの流れからだけみていましたが、
技術面での通信機器のコモディティ化、というご指摘は目からウロコでした。

ぜひ、また遊びにいらして、バシバシご教示ください!!

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