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最近観て気に入った映画

それぞれの人に、それぞれ与えられた条件・環境があって、人によっては厳しかったりそうでもなかったりするし、自分一人の力で変えられるものとそうでないものがあるし、努力して報われることとそうでないことがあるし、人によっては意思の力や賢さも違うし、それぞれが与えられた制約の中でも精一杯生きるのが人間の性なのかなあ

というような、どの作品にも共通して流れるテーマがツボでした。(むしろ、私自身が最近そういう気持ちなのかも)

別に人生に対して諦めたとかそういうわけではないのですが、人間には、それぞれ、できることとできないことがあるというのはもうどうしようもない真実だし、本人がやりたくないんだったら、合理性を議論したり、怒ったり責めたりしてもしょうがないよなーと。

「ジョンQ」

妻はスーパーマーケットのパートタイマー、夫はメカニック。ボディビルと野球が大好きな可愛い息子が一人。ある日、最愛の息子が倒れ、心臓移植をしなければ生きられないと告げられる。費用は数万ドル。保険はきかない。夫と妻の年収はそれぞれ年1万ドル台。アメリカの「普通の人」はきっとこういう生活が普通なのだろうなあ、と感じた。子どもがいる人が観たらどういう感想なのか聞いてみたい。「誰かに選ばれたら、その人の期待に応えろ」と息子に語り掛ける主人公の台詞が印象に残った。アメリカは、豊かそうに見える反面、保険や年金等、ソーシャルセキュリティでは色々と問題もあるなあとも思った。

しかし、やはり医療関係者の熱意、人を救おうとする真摯な気持ちが描かれていたことには救われた気がする。

ジョンQ-最後の決断-
デンゼル・ワシントン

ジェネオン エンタテインメント  2004-06-25
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「死ぬまでにしたい10のこと (My Life Without Me)」

これもやっぱり「普通の人」が主人公。DVD特典映像で、主演女優のインタビューが収録されていたが、「労働者をジョークにしていないところが気に入った。彼らはただお金がないというだけで、物事をきちんと考えているのだから」といった彼女の言葉に強く共感した。父は刑務所、10代で最初のボーイフレンドの子どもを妊娠してしまい結婚。母の家の庭のトレーラーで生活し、夫は日雇い労働者、自分は大学の清掃員。ある日、癌で余命はあと3ヶ月、と言われたら…。キャスティングや映像センスが素晴らしい。日本では「アルモドバル製作総指揮」といわれていたが、おそらくそれは単なるマーケティングで、間違いなく女性が作った映画だと思う。

主人公の決断・選択には、きっと賛否両論あると思う。愛する夫と子どもを残して先立たなければならなくなった時、自分は一体どうするだろう。同性として既婚者として、かなり色々考えさせられた。「死ぬまでにしたい10のこと」に、私は何を挙げるだろうか。

死ぬまでにしたい10のこと
イザベル・コヘット サラ・ポーリー マーク・ラファロ

松竹  2004-04-24
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Million Dollar Baby

家族愛の映画。ラストは相当に切ない。勧善懲悪とか爆笑とかスッキリとか、そういうカタルシスを映画に求める人は観ない方がいいかも。逆に、傷付きながらも、立ち直っていなくても、人間は生きていかなければいけないんだね、という感じにはなれる。貧しさの中でも求め続けることを止めない女性をヒラリー・スワンクが熱演(ゴールデングローブ賞ならびにアカデミー賞で主演女優賞を受賞)。ボクサーとしての体作りやトレーニングはすさまじそうだし、殴られて顔ボコボコだし、きれい・可愛いだけの女優ではとてもできない役どころのお蔭で得をしている面はあると思うが、他に適任者が思い当たらないのも事実。イーストウッドやフリーマンと並んで迫力負けしない力量はさすが。

「天は二物を与えず」というが、イーストウッドのように二物・三物(監督・主演・音楽)を与えられた人がいるのだなあーと思ったり、逆にいえば、そこまで頑張ろうと思える対象、熱意を注げるものを彼は見つけたのだということが素晴らしいと思った。

Hotel Rwanda

ツチ族とフツ族という憎み合う民族の争いを超えて深く愛し合っている夫婦の姿が、民族同士の憎み合いと強烈なコントラストとなっており、声高に反戦を謳うわけでないのに、争いの無意味さを感じさせる。

内戦の混乱の中でホテルを運営し、多くの人を守った主人公ポール(実在の人物で、現在も存命)のリーダーシップには敬服するしかない。あの状況では、いつパニックに陥ってもおかしくないと思うのだが、ホテル内に秩序を維持していただけでも感嘆に値する。(UNの存在も大きかったと思うし、地元ギャングとの関係をキープし続けられた政治的手腕もすごい。そして最後はやっぱり世の中お金なのねとも思ったが)「シンドラーのリスト」や「キリング・フィールド」と同じようなカテゴリの映画と言えるが、殴られて泣き叫ぶ女性や子供、累々と連なる死体の山、といった映像を、ヘンにセンセーションに走ることなく淡々と続けているところがリアルで逆に怖かった。

今どきよくこんな映画をアメリカが作ったなーと思ったら、イギリス・サウスアフリカ合作だった。将来きっと名作と言われるようになるのではないかと思う。

極限状態に置かれた人間が、どこまで気高く思いやりを持って生きられるか、一人の人間がどこまで人に尽くせるか、その問いかけはとても重い。


Can Anyone Save H-P?

最初に、個人的な思い出から語ることをご容赦ください。

私がシリコンバレーに来て、一番最初に訪れたのはStanford大学でした。Stanfordに寄り添うように周りを取り囲んでいたのが、緑に溢れた、美しい広大な敷地を持つhpのキャンパスでした。

勿論、hpは日本でもかなりのプレゼンスを誇る一流IT企業の一つなのですが、Stanford大学の二人の卒業生・Bill Hewlett とDave Packardが最初の製品を組み立てたPalo Altoのガレージが「シリコンバレー発祥の地」とされているように、hpはシリコンバレーの「アイコン」、特別な存在なのだなあ、と痛感したことを覚えています。

経営改革のために、5年前に同社が初めて外部からヘッドハントしたCEO, Carly Fiorinaが2月9日に解任されました。

Can Anyone Save HP?
今週のBusinessWeekの特集では、hpが今日立たされている苦境、Fiorina6年間の苦闘の軌跡が描かれています。

hpの現状についてはつい先日、PC製造業のバリューチェーンの変化と海外アウトソーシングで書いたばかりで、BusinessWeekの記事にも取り立てて新しい情報はありませんが、ポイントを再掲すると、

  • ローエンドPCではDellにシェアを奪われ、サーバ市場ではIBMに勝てず、プリンタ事業以外は投資の価値無しとされている (現在hpの利益の3/4はImaging and Printing Suppliesから来ている)
  • 既に、PC新機種の1/4はEMSによって設計されており、大きな技術的イノベーションがCompetitive advantageでなくなりつつあること(それはつまり、エンジニアドリブンの文化を持つhpのR&Dの存在意義を問われる市場の変化とも言えるかも)

Fiorinaの野望は、hpを世界で最も幅広い製品を扱うTech companyにすることだった、というのが幾つかの記事・情報を繋ぎ合わせて伺えることです。Compaqのみならず、ソフトウェアの分野でも過去18ヶ月の間に6社を買収したり、"HP way"を翻して数万人をレイオフ、大物エグゼクティブ(prominent figures)を次々クビにするなど超アグレッシブなリーダーシップで建て直しを図ったものの、投資家を満足させられるような結果を出すことはできなかったようです。

彼女の性格的な短所・女性CEOにとっての教訓などでも触れられていましたが、やはりhpのように強い独特の文化を持った大企業を変革する上で、あまりにも周囲を敵に回しすぎたのは彼女にとって不幸だったのでは、と思いました。同時に、Fiorina Wayに反撥したhpのエグゼクティブ陣が一体何をどうしたかったのかは分かりませんが、hpが自己変革のキッカケを一つ失ったことは確かでしょう。

投資家は「hpは分割すべきだ」と言っているようです(HP may simply be trying to do too much. The giant lacks both the resources and management skills to compete with the best of the best in nearly every industry in tech)。

さて、一体、誰がhpを救うのか?

BusinessWeekの記事には、後任として、Michael Capellasを含む数人の名前が取り沙汰されていましたが、どんな凄腕を持ってしても、難事業 (It's a Herculean task)だろう、とのことです。誰もが連想するように、90年代にIBMを復活させたLouis V. Gerstner Jr.のことも引き合いに出されていました。

先日、とhpの話題で盛り上がったのですが、夫は「hpの商品ラインナップは競合のDellに比べると広すぎて効率が悪い(折角買収したCompaqのラインを統合できていない)」「hpはR&Dに定評があるが、90年代以降は殆どヒットとなる新商品を生み出せていない(更にハッキリ言えばHP-UNIX以降イノベーションが実っていない)のが課題ではないか」と言っていました。「世界一影響力のあるブランド」の座に3年ぶりに返り咲いたアップルにおいても、

アップルのR&Dって怪物みたいなんです。その怪物を、ジョブズ以前の社長は、誰もコントロールできていなかった。ジョブズはR&Dをしっかり掌握しましたね(梅田望夫さんによる、アップル木田泰夫さんのインタビューより)

エンジニアやR&Dをコントロールすることができるかどうか、それが次のhpのCEOの課題かもしれないなあ、等と思いました。

ちなみに、成功を謳歌していた90年代のhpの企業文化については、下の本が詳しく紹介しています。

日本的経営を忘れた日本企業へ―9万人のベンチャー企業。ヒューレット・パッカード
校条 浩 本荘 修二

ダイヤモンド社  1995-12
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The Decline and Fall of The Bell Empire

AT&Tは、1875年、電話を発明したAlexander Graham Bellによって創業されました。

アメリカの、そして世界の電話の歴史と共に歩んできた会社であり、かつては米国最大の雇用者(Employer)として「Ma Bell (Bellお母さん)」という愛称で親しまれました。そのAT&Tが、いわば子供であるSBCに$16Billionで買収されることになった、というニュースは大きな話題になりましたし、少なからず同業者の私としては、色々考えさせられました。

面白い記事がありましたので紹介します。

WSJ.com - AT&T Inventions Fueled Tech Boom, And Its Own Fall
http://online.wsj.com/article_print/0,,SB110729925236542968,00.html

1947年12月に、William ShockleyというAT&Tラボの研究者とそのチームによって、ひとつの技術が産声を上げました。

このときに生まれたトランジスタは、通信の高速化に大いに貢献し、1956年にAT&Tラボにノーベル賞という栄誉をもたらしましたが、AT&Tが長くゆるやかな滅亡への道を歩み始めていたことの一つの象徴とも言えるかもしれません。

Dr. Shockleyは二人の部下、Walter Brattain and John Bardeenにプロジェクトを任せたものの、彼らの成果を見てその凄さに気づいて、トランジスタの発明者としての栄誉を独り占めできなかったことが惜しくなったのか、自分一人で技術の改良に取組み、1 年後に自分単独の名義で特許を申請します。Dr. Shockleyのスタンドプレイは、チーム内の反目を生みました。二人の部下は、後にそれぞれ大学教授になりましたが、Dr. Shockleyはカリフォルニアに引越してスタンフォード大学の近くでコンサルティング会社を始めます。しかし、Dr. Shockleyのあまりの気難しさに付いていけなかった部下8人は、1年程度でスピンアウトして自分達の会社を始めました。その会社が、あのフェアチャイルドだったのでした。

シリコンバレーのメジャーな半導体企業のルーツを遡ると、その大半がフェアチャイル ドの系譜に繋がると言われるほどの名門企業が、AT&Tラボにおける技術者としての名誉を巡る醜い争いの落とし子として生まれたというのは、なんとも皮肉な運命(いや、それが歴史の必然か)だったとしか言えません。

人は誰でも、多かれ少なかれ、必ずどこかで「人に認めてもらいたい」欲というのを持っているものだと思います。それは人間としてごく自然な感情なので、否定する必要はありませんし、逆に、これを軽視すると大変なことになるんだなあと思うことが最近多かったのですが、それを改めて痛感させられた記事でした。(技術者のモチベーション、ビジネスパーソンのモチベーションについては、またいずれ機会を改めて書きたいと思います。)

その後も、AT&Tは、少しずつ大企業病に蝕まれていきます。衰亡には、おそらく、数多くの原因があったのだと思われますが、記事によると、電話事業を独占し単一企業としての存続を守る代償として、AT&Tラボは、その成果を公に安価に公開する義務を負っていたことも、その一つだったとされています。 独占であるがゆえ電話事業はあまりにProfitableで、自らの発明から利潤を追求しよう というモチベーションはAT&T内部には働きませんでした。

"It turns out that knowing a lot about computers was different than selling them," (元AT&Tラボの技術者)

しかし、AT&Tラボが生んだ数多くの技術―UNIX、携帯電話の基礎となったセルラー技術 、VoIPを可能にした音声圧縮技術―は、今日のハイテク・通信業界をリードする数多くの企業が発展する基となりました。IBM, GE, TI, そして当時は東京通信工業という名前だったSONY。

SBCとAT&Tの他にも、P&GがGilletteを、QwestがMCIをと、最近アメリカでは大型のM&Aのニュースが続きました。M&Aが増えると景気は良くなるし株価も上がるようです。業務基盤の拡大・経営の効率化といったプラスの側面が多い、と考えられているようです 。従って、少なくとも株式市場においては、会社が大きくなるのは良いことだと言えます。また、大企業には長期的な研究にもお金を掛ける余裕があります。仮に自社の利益にはならなかったからといって、即、その大企業がダメだというわけでなく、そこで生まれた技術が世の中の役に立っている場合、それはそれで一つの社会的使命を果たしているという面では存在意義があるのだと、私は思います。

"Yes, phone calls were very expensive and we got rid of a monopoly," says Mr. Riordan, the co-author of the transistor history. "But this was a company that literally dumped technology on our country. I don't think we'll see an organization with that kind of record ever again."

AT&Tの名前がビジネスの世界からいずれ消えたとしても、AT&Tラボがアメリカの競争力に大いに貢献し、イノベーションの担い手だった事実は消えることがないでしょう。


SMB Buying Behavior and Channel Preference

Asia/Pacific Small and Medium-Sized Business Buying Behavior and Channel Preference
(IDC)

アジア/パシフィックのSMB(Small and Medium-Sized Business; 中小企業)が、IT商品を購入する際の情報収集・購買チャネルに関するIDCの調査です。プレスリリースによると、27%の企業がIT商品・サービスに関する情報収集にWebを使っており、二位のコンピュータストアは12%に留まっています。購買チャネルとしてもWebが最も人気があるため、SMB向けのページを用意しているオンラインショップはより有利とのこと。

個人的に気になる記述は、「インターネットは大企業のみならず中小企業にも大きな影響を与えている」というあたりです。「金額」や「回数」でなく、「使ったか、使わないか」だけでみるとオンラインが多くなるのは大企業も同じなんでしょうか。大企業は購買力があるので、一般のオンラインショップに行くよりも契約しているサプライヤから買ったほうが安いのでは?でもそれは日本だけ?

また、IT海外アウトソーシングにおける中国の現状で少し触れましたが、日本のソフトウェア市場ではパッケージよりもカスタマイズ・SI型のほうが市場規模が大きいので(データ手元にないので見つけたらリンクします)、SIの場合は出来合いのカタログから選んでオンラインで買うというわけにはいかないはずなので(仕様を決めてオークション形式でよーいドンで入札させる方式は技術的には可能でしょうが、日本のユーザ企業はきちんと仕様書を自分で書いて複数ベンダを競わせるというよりも、ベンダーロックインされていることが多く、相見積は形式的なことが多いような気がする)、この調査も金額ベースで見たらどうなのかが気になりました。このレポートを買えば書いてあるんだろうか(笑)

The survey also found that IT vendors who have created content dedicated to SMBs on their websites are gaining an additional advantage. SMBs are growing increasingly reliant on the Web, with 27% of those surveyed accessing the Web to learn about new IT products or services

Hence, the Internet has greatly influenced the lifestyles of not only the large enterprises, but the SMBs as well.

MBs in Asia/Pacific are most concerned about their security arrangements, in terms of investments

新商品について情報を得る際のソース(%)
2003年に使われた購買チャネル(%)
Source: IDC