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競争はどんどん国際的に

体調があまり良くなく、きっちりした文章を書く余裕がないので、覚え書き程度ですが、先日参加したSVCWirelessのAnnual Conferenceに関する感想から、なぜ日本のモバイル関連ビジネスがグローバルになれないのか、はたまた日本のIT企業がグローバルになれないのかについて、最近感じていることを書いておきます。殆ど、課題提起だけですが。

本当は、色々な前提条件というか、シリコンバレーやアメリカの環境の説明をしないといかんのですが、ここでは全部すっ飛ばして、イキナリ結論から言います。私がシリコンバレーに来てしみじみ驚いたのは、

こちらのスタートアップは、会社ができた瞬間から世界の市場を狙っている

ということでした。

また、同時に愕然としたのは、

日本のソフトウェア産業は、殆ど国際競争力を持たない

ということでした。

2000年のソウトウェアに関するわが国の輸出入の現状をみると、輸出は90億円(対前年比96.7%)、輸入は9,189億円(同127.6%)となった。輸入は輸出の102倍となり、前年の77倍に比べ、さらに格差が広がる結果を露呈した。(出所:JEITA ソフトウェア輸出入統計調査 2000年

アメリカのモバイル市場に詳しい人なら周知の事実ですが、こちらは、端末という意味でもサービスという意味でも、日本に比べると遥かに遅れています。世界最先端のトレンドを見るなら韓国と日本だ、とかなり前から言われています。

SVCWirelessでも、VCやケータイ関連ソリューション企業のベンダのエグゼクティブが色々アメリカや中国のケータイ市場について語っていたのですが、そのトレンドを見ると、「音声(通話)はそろそろコモディティ、収入は頭打ち。これからはデータ通信」「Short Messaging Serviceが収益源」「ゲームやWebブラウジングがこれから伸びそうだ」「RFIDタグと組み合わせた端末も出てきたので、モバイルペイメントサービスや、ラジオ、音楽配信も期待」等など、

どれも日本で数年前から流行っていたもの(あるいは既にサービス開始しているもの)が、始まったばっかりだったり、これから始まる段階なのでした。

では、なぜVCが、日本のモバイル関連企業をこちらに紹介しないのだろうか?というと、文化的な差から、日本で受けたものがアメリカや中国で必ず流行るとは限らない、というのもあるのですが、一番大きな原因は単純で、どこにどういう会社があるのかよく分からないし、そういう会社と渡りを付けるためのコネ、土地鑑がない、という、純粋にロジスティックスの問題であるとのことでした。

逆に言うと、日本とアメリカの両方の市場の土地鑑があって、目利きや、橋渡しをできる人が増えさえすれば、日本のモバイル関連ビジネスの会社には、まだまだ大きな市場があるのではないか、と感じました。

サービスやアプリケーションレベルではよく分かりませんが、少なくとも端末の市場では、韓国企業のSamsungが世界三位(最新のデータでは更にシェアを伸ばしているのかも?)、LGが五位のシェアを持っているのに対して、日本では、かろうじてSony Ericssonが六位で、その他日本のメーカーは、世界市場では全くプレゼンスを有していないと言っても良さそうな状況にあります。

シリコンバレーの会社は、たとえまだフルタイムの社員が一桁人だろうと、ベンチャーキャピタルから資金調達できてない状態であろうと、海外の市場へどう打って出るか真剣に考えていることが少なくありません。

ある意味、日本の市場だけでそこそこのビジネスになるというのは恵まれた環境でもあります。また、日本は特殊な市場だとよく言われる意味が、アメリカに来てみて分かるようになった(これについてはそのうち一度まとめて書こうと思う)ので、いちがいに「だから日本企業はダメだ」等と決め付けるつもりはありませんが、

そもそも、競争はグローバルだと考えていないということが、日本企業の海外市場での成功を阻んでいる最も大きな要素なのではないか?

というのが、最近、私が持っている仮説なのでした(大胆ですいません)。

中国系のWirelessプロフェッショナルのNPOのカンファレンスに参加して、こんなことをずーっと考えていました。それにしても、このカンファレンスがすごかったのは、パネリストの殆どが外国生まれの人だったということです。アメリカ生まれのアメリカ人はあんまりいなくて、皆、中国や台湾、インド、ヨーロッパ、等で生まれ育ち、留学等を機にアメリカに来て働いているという人ばかりで、改めて、シリコンバレーのインターナショナル性を痛感した一日でした。

ソフトウェア全般に関して、なぜ国際競争力がないのか、については、他にも色々書きたいことがあるので機会を改めますが、まず間違いなく、次代を担う若者(だと自分を思っている人も含む)は、絶対英語はできたほうが良いと思います。

勿論、「伝えるべきもの(コンテンツ)」を持っていることは、言語よりももっと大切だと痛感しているのは言うまでもありません。

#ちょっとあちこちで紹介いただいているもので、雑ですが、とりあえず課題提起だけして更新しておきます。

Comments

Toru Sato

VCが有望な日本企業を知らないのは、我々日本人起業家のプレゼンテーション能力が低いのも一つの原因かもしれないです。というのは、私は最近、とあるプライベートな資格試験を受けたのですが、プレゼンテーション能力に関して非常に低い評価しかもらえなかった経験をしたからです。能力が低いと短い時間に伝えるべきことをきっちりと伝えられず、結局、自分や自分の会社の持つポテンシャルを説明できないといことになるからです。プレゼンテーションの技術はある程度確立しており、決まった型にある程度はまらないと結果として良いプレゼンテーションにはならないということを今回あらためて思いました。

1対1でじっくり話して相手に納得してもらうまでねばって説明する方が自分には合っています。

でも、プレゼンテーション能力開発のようなトレーニングプログラムがある(売られている)ので、これを購入してこの際、身に付けようかどうか迷っているところです。

シリコンバレーのドレードショウで見るプレゼンテーションってみんな上手なので、やはり専門のトレーナーから教わっている人が多いのでしょうか?

Bythebay


原因はいろいろあるかもしれませんが、ひとつには日本人コミュニティの弱さがあると思いますよ。

海外へVCを狙う人達に対し、強力なサポートとなるべき現地(日本人)のコミュニティが
”英語ができないと駄目”、”何々が前提条件です”といって、排他することからはじめる。

これが、マイナス面はあるにしろ、プラス面の可能性があるVCに、マイナス面は現地コミュニティが
何とかサポートするから、とにかく、いらっしゃい!という中国系、韓国系のコミュニティとの大きな
違いかな、と感じています。

もっと極端な言い方をすると、強力なサポートとなるべき現地(日本人)のコミュニティの持つ
エリート意識が、日本から海外へVCを狙う人達の芽を潰しているような気がします。

Tomomi

>>佐藤さん

実は私、こちらでアメリカ式プレゼンのトレーニングを受けたことがあります。
(その割にはあんまり上手じゃないので恥ずかしいのですが)その時の先生は、Non-nativeのビジネスパーソンを教えている方で、やはりニーズが高いところを見ると、プレゼンを訓練したいという外国人は多いのでしょうね。

ただ、日本人の中にもプレゼンがうまい人・苦手な人がいるように、個々人の得意・不得意のほうが大きいと思うので(幾らアメリカ人が子供の頃から学校で練習させられると言っても、上手じゃない人もいるし、そういう人は普通トレードショウに出てこない)こちらで起業する場合、思い切って、そこは自分の仕事ではないと割り切り、プレゼン上手なアメリカ人に任せてしまうというのもアリなのでは?と最近思います。

これまで私が会った日本人起業家は技術職の方が多かったからかも知れませんが、自分はテクノロジに専念して、CEOにはセールスやマーケティングのプロのアメリカ人を雇うパターンが多いので、それも一つのテかもしれません。日本人起業家の中には「自分はアピールが苦手」という方は結構多いです!でも、それでもVCから投資を引き出している実績のある方はいらっしゃいますし、「技術的に光るものがないと幾らプレゼンが上手でもダメ」とも聞きます。なので安心してください、ってちょっと違うか(笑)

あと、プレゼンのお作法自体はかなり型が決まったものなので、基本を教わって、繰り返し練習すれば(場数が大事な気がする)誰でもある程度のレベルまでは到達できると個人的には思っています。

>>Bythebayさん

このエントリを通じて私が言いたかったのは、「日本人の能力や、日本のサービス・商品の品質が問題なのではなく、単に、彼らと私達の間に”橋”がなかった、というだけで、できないと思われていることがたくさんある。だから、自分から橋を掛けて、どんどん海の向こうに渡っていきさえすれば実現することも、きっとたくさんあるのではないか?」ということでした。

ご指摘の通り、日本人のコミュニティが、他民族のそれより弱いというのは事実だと思います。

そもそも、絶対的に当地における民族としての定着度が違いますしね(笑)何十年の歴史を持ち、当地で大成功した起業家を大勢輩出しているインド系や中国系の団体に比べると、数も本当に少ないですし、数年前までは、そもそも「日本人同士が助け合おう」という動きは何もなかったわけなので。

ただ、不況の苦しみの中でも無償奉仕でここまで支援活動を育ててこられた方々の努力に私は感銘を受けましたので、日本人の海外進出が少ないのは「支援活動をしている人達の個人的な資質の責任」だと言い切られてしまうのは、大変残念に思いました。

それと、念のためにお断りしておきますが、「仲間内で母国語で助け合うのは勿論だが、現地に根ざして仕事をしていくつもりなら、その国の言葉が最低限できたほうがベター(また、できないなら来るな、とはどこにも一言も書いてない)」というのは、あくまで私個人の見解で、所属する会社や団体の運営方針・信条とは全く関係ありません。ご了承ください。

中田英寿や松井秀喜も、チームメイトや地元ファンとのコミュニケーションのために(たとえ通訳を雇うお金に困ってなくても)自分で話せるように語学勉強してますよね?「外国で、自分の能力や技術を頼りに生きるプロフェッショナル」という意味で、ビジネスパーソンやエンジニア(今回のエントリで対象としている人達)もプロスポーツ選手と同じだと思ったので、あのように書きました。

ただ、日本人コミュニティも、他のどんな組織とも同様、決して完璧ではありませんので、活性化させるための建設的なご意見・ご提案は大変ありがたいものだと思っています。

Bythebay

私が申し上げたかったことも、「コミュニティの弱さ も あるのでは?」ということだけですが、それが
Tomomiさんの勘に触ったら申し訳ないです。 

この場合、スポーツ選手の例がよいかどうかわかりませんが、そうですね、中田も松井も、イタリア語や
英語が話せてから海外へ出て行ったわけではなく、海外で活躍するうちに(通訳を雇いながらも)自分で
学んでいったかと。

なので、成功した結果から導き出す(推測される)条件ではなく、いろいろな形態のVCが、進むなかで
必要となってくるもの、あるいはお金だけはで解決できない(=通訳・翻訳、法律、会計以外)ものは
何だろうと、考えた結果、その一要因が コミュニティかな、と思ったわけです。
 


Marmot

かな~り遅いコメントですが、しかも初めて書き込みします。

ソフトウエア輸出入統計のページも見にいきましたが、そこのソフトウエアの範疇はすでに存在するプラットフォーム(OSやハードウエア)上のソフトウエアに限定されているように思えます。この統計に載らない組み込みソフトウエアはかなり日本の会社の得意とするところではないでしょうか。たとえば産業機器の制御ソフトウエアなどです。自動車のマイコンソフトもそうですね。それともファームウエアの範疇になってしまうのかも。区分はともかく金額で計算が困難なことだけは確かです。

ところで受け入れコミュニティですが、やはり弱さは感じてしまいます。ひとりの日本人が複数のコミュニティに参加しそのなかの一つが日系コミュニティ(SVJENやJTPAなど)というようになってこそネットワークの強みが生かされると思います。私は電気屋なのでIEEEの講演会などになるべく参加するようにしているのですが、これまで一度も日本人に会ったことがありません。驚きを通り越して背筋が寒くなっています。

Tomomi

>>Marmotさん
鋭いご指摘ありがとうございます!!
私自身の専門(リサーチの対象)が業務アプリケーション(OS等の上で動作するもの)なので、それ以外の分野における洞察としては適切でなかったかもしれません。おっしゃる通り組み込み系は日本が強いと言われていますね。あと、自動車は、実は今日ではコストのかなりの部分をソフトウェアが占めているという記事もみたことがあります。ソフトウェアと言っても十把一絡げにはできないですね。非常に示唆に富むご意見です。

以下はあくまで私個人の意見ですが、一つのコミュニティが外国で働く人の全てのニーズを満たす必要はないのでは?と考えています。日本人コミュニティはあくまで「外国で働く日本人同士のネットワークの基盤」で良く、(加えて、JTPAなら「テクノロジー」SVJENなら「起業家」向けの施策があれば)そこから先はかなり個々人の仕事内容に依存する話なので、コミュニティ内で仲間を見つけて協力し合うなり、他団体へ行くなりして補えばそれで良いのではないかと思っています。実際、このエントリの引き金になったカンファレンスも、中国系の団体主催だったので、日本人の私が行って、ここに書かなければ、そういう事情があるということも知らなかった人がたくさんいるでしょう。それぞれの日本人が自分のフィールドで外にアンテナを伸ばしていって、それを持ち帰ってくれれば更にコミュニティが強力になると思います。やはり、当地では、日本人だけに閉じていてはビジネスが成り立たないのも事実だと思うので。

ただ、繰り返しになりますが、日本人コミュニティもまだまだ生まれたてで、改善の余地はたくさんあるというのは私もその通りだと思います。どの団体もフィードバックは歓迎しているはずですので、ご意見ご要望をお寄せいただければ幸いです。当地で働く人自身が主体的に運営に関わってくれるのが理想的な姿だと思います。

Pina

すみません!トラックバック化けてしまいました。MovableTypeからTypePadなので相性いいはずなのですが。。。

Tomomi

Pinaさん、Trackbackありがとうございました!
このテーマ(日本のソフトウェア産業はなぜ国際化できないのか)に関しては、言いたいことが色々あるのですが、正直まだ考えがまとまっていません。
一つには、お客さんを甘やかして、カスタマイズで工数積み上げて稼いで来た(標準化してパッケージとして輸出しうる形にすることを怠ってきた)我々Sierの責任もあるのだろうなと感じています。

MORSEImelda31

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