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文系人間はベンチャー経営向き?

最近、友人と、環境の変化に強い文系はベンチャー経営・論理的に土台を固める理系は大企業経営向き (勿論、ベンチャーも技術が分からないと商売にならないので理系は必要だし、大企業でも常に変化は必要なので文系は必要だが)という議論をしました。

#文系は、決定のプロセスの中で仮説を消していくが、理系は、最初に一つだけ仮説を取って残りを捨て、プロセスでごり押しする、という違いがあるため

この議論の中で、以前、とあるMLの「ロジカル・シンキングには、一体何のメリットがあるのだ?ロジックは利益を生むのか?」というスレッドに投稿した自分の文章を思いだしたので、若干改稿し、貼り付けておきます。

結論としては、「ロジックは、役に立つ場合もあるし、立たない場合もある」、端的に言うと、組織を大きくするときのオペレーションの作りこみ・大企業の運営には役に立つ、なのですが、理系の方がロジカル・シンキングが得意そうなので、「大企業経営=理系」の図式は、当たらずとも遠からずかもなあ、と思ったのでした。
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従業員1万人規模の会社に勤め、現在40人弱のアクティブメンバを有するNPOでボランティアをしております。

その経験から言うと、理屈こねなくてもサクサク動いてくれるのが一番ラクです(しみじみ。。。)

ただし、ロジックを振り回さなくとも、目的・ゴールに対する認識や、そこに向けての温度を一致させることができ、コミュニケーションに苦労せずに済むのは、やっぱり組織が20人ぐらいまでの場合に限られると思います。40人でも、既にやや困難が出てきています。「20人」という数値は経験知で、理論的な裏づけはないですが、構成員全員が、お互いの顔と名前を一致でき、その人となりを理解し、日常的にコミュニケートできて、イザとなれば社長が一人一人差しで飲んで回ることができる規模には、物理的に限界があるからです。

あの野中郁次郎ですら、「官僚組織はなくならない。なぜなら効率が良いから」と言っているように、組織が一定以上(経験的には20人程度、頑張っても40人)に大きくなると、1人で全体を把握できないので、何らかの形で、組織内の意思決定・伝達には階層ができます。温度差もできます。そして「何となくこんな感じ」では話が通じなくなります。

それから、組織内のコミュニケーションがいかに難しいかを示すもう一つの例として、バランススコアカード提唱者のKaplan・Norton教授の研究によると、一般的な企業では、「90%の従業員は自分の会社の戦略を理解していない」というデータがあるそうです。

なので、自分が経営者・マネージャになったら、「自分の部下は、自分がどちらの方向にどう向かおうとしているのか分かっていない」と思った上で行動した方がよい=ロジックが必要 ということですね(笑)

だからこそ、企業理念を繰り返し語り続けること、マネージャからのメッセージはシンプルであることが重要なのだと思います。また、阿吽の呼吸が通じる少数精鋭ならよいのですが、それ以上の組織になったとき、一から十まで、毎度毎度、全ての作業を細かく指示していたら自分の仕事が減りません。大まかにどういう方向に向かっているか、動機付けを行う上で、効率的なコミュニケーションを行うのには、ロジックは便利だと思います。既にできあがったオペレーションを定着させるときとか、必要な作業のやり残し・取りこぼしを減らす上でMECEとかのツールは便利です。また最近、やたらと「IT投資の投資対効果を定量的に測定したい」というお客さんが多いのですが、何をもって成果とするか、どれだけ達成できたか、数値目標を立てるというのも、組織の目標を構成員に効率的に伝え、目標達成に向けて駆り立てる手段として有用です。

Dellや、Wal-martなんかが効率追求で有名ですが、サプライチェーン効率化のために省ける無駄を探すためのデータ収集・分析へのWak-martの執念はあまりに有名です。Wal-martのデータウェアハウスは、世界中でペンタゴンの次にデカイと言われています。

但し、ABC分析(Activity Based Costing)とかBSC(Balanced Score Card)みたいなツールを入れて運用するのって、それだけで結構な手間隙が掛かるんですよ。。。自分の一日の行動を、全て「今日は何時から何時までアレをやって、幾ら何にお金を使った」と記録する億劫さを考えていただければ、1万人分「誰がいつ何をやったか」把握するためには大変な労力が掛かることが容易に想像できると思います。しかも、そのデータを採取すること自体は、1円の経済価値も生み出さないわけですから(勿論、データを元に、作業の無駄を発見し、改善につなげればそれは価値になります。だからこそ多くの会社が導入するのですが、ここでは「それには相当な労力が掛かる」ということが分かってもらえれば結構です)

このように、場合によってはロジックはとても便利だけど、きっちり実践するのはそれなりに大変さを伴うということと、それから、必ずしも効力がない場合もあります。

例えば、不確実性の高い状況の場合。新商品を出すとか。こういうシチュエーションで、皆の意見が合うことはまずありえないです。未来のことは誰にも確かなことが言えないので、絶対に意見は割れます。(…この感覚、新規事業をやったことがある方なら実感として理解していただけると思うのですが、いざ説明しようとすると難しいですね~。試しに、何人かでケーススタディを一つやってみると良いのではないでしょうか。「この事例では、結果としてはこうなった」という結論がでているものを題材に選び、参加者には結論を隠した上で、誰が一番利益に繋がる決断を下したかを競います。勝った人には皆がお金を払うとか、真剣に賭けた方がよいです。特に日本人は「なぁなぁ」になりがちなので。)

あと、創造的な仕事の場合、数値でギリギリ絞ってしまって「遊び」が全くないと、型破りの発想が難しくなるというのも事実だと思います。

そういう、言語化しづらい感覚を共有できる少数精鋭で一気に行動した方が早い場合、ロジックを超えたものが必要なのではないかと思います。ヒット商品を連発していた頃のSONYは、盛田さんとその腹心の部下数人で新商品の決定を行っていたというのも納得でした(クリステンセン「イノベーションへの解」の受け売りですが)エイヤ!で誰かが決めて、それに周りは従う、ということが必要な場面もあります。

#その場合、過去の成功や普段の仕事振りから来る、「この人が決めて、それでダメならしょうがない」的な周りの信頼が得られるかどうかがカギなんでしょうかね?あとは「これを絶対に売ってやる」という「気合」とかね。

というわけで、「ロジックは、マネジメント上、コミュニケーションツールとしては有用だが(特に組織を大きくしようとしている場合や、繰り返し型のオペレーションを効率化する場合)”成功の万能薬(=銀の弾丸)”ではない」というのが私の意見です。

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