建設業界の海外アウトソーシング
SVJEN 起業家トークの夜

The Myths of Open Source

The Myths of Open Source
http://www.cio.com/archive/030104/open.html

オープンソースについては、興味は持っているものの、まだ考えが煮詰まっていません。CIO Magazineの記事は、幾つか私が持っている課題意識に一つの示唆を与えてくれるものだったので、ポストしておきます。

私がオープンソースについて考えていることを列記します。


  • オープンソースだからこそできること(メリット)/できないこと(限界)とは何か
  • ITサービスプロバイダはオープンソースとどう付き合うべきか(どこに儲けを出すか)
  • 今後ソフトウェア開発の向かう方向性とは

このCIO Magazineの記事では、オープンソースにまつわる6つの伝説・神話について、反証しています。


  • THE ATTRACTION IS THE PRICE TAG (ユーザがオープンソースを選択するのはタダだから)
  • THE SAVINGS AREN'T REAL (実はコスト削減にはなっていない)
  • THERE'S NO SUPPORT (サポートがない)
  • IT'S A LEGAL MINEFIELD (訴訟沙汰の危険性をはらんでいる)
  • OPEN SOURCE ISN'T FOR MISSION-CRITICAL APPLICATIONS (ミッションクリティカルなアプリケーションには使えない)
  • OPEN SOURCE ISN'T READY FOR THE DESKTOP (デスクトップOSとしては不十分)

特に5番目:ミッションクリティカルなアプリケーションには使えない については私自身も同じ疑問を持っていたので、記事で紹介されていたイタリアの銀行Banca Popolareの事例は興味深く読みました。

Unwilling to throw out the bank's legacy banking applications, totaling some 90 million lines of Cobol, but unable to keep them running under IBM's vintage OS/2 Presentation Manager operating system, Whincup has used a proprietary legacy integration tool from Jacada to connect the Cobol to IBM's WebSphere—running in a Linux partition on the bank's mainframe.

9,000万行のCOBOLのソースコードを捨てるわけにもいかないし、かといって年代物のOS/2を維持するのも辛いし…というこの状況、日本のメインフレームユーザにも共通した悩みと言えそうですが、Jacadaという会社のインテグレーションツールでCOBOLのレガシーシステムとWebSphereを接続したとのこと。

結果としては、

Formerly disjointed applications now run slickly in a Web browser, yielding faster transaction times, less time spent training tellers—and many more opportunities for cross-selling the bank's services.
分断されていたアプリケーションがWebブラウザで操作可能になり、パフォーマンスも向上し、研修時間も短縮(ユーザビリティが改善したのか?)、システム間統合ができたことでクロス・セリングの機会も増えたそうです。

この記事で一番面白かったところは、

Is open source right for every organization?

という命題に対するCGE&YのCTOのコメントでした。

"The arguments for and against open-source software often get very trivialized," he says. "It's not a technology issue; it's a business issue to do with externalization."

全ての企業・全てのOSにLinuxが適するとは、私は思いません(少なくとも今の時点では)。確かに、自分で切り分け・問題解決できる(そしてその方が早い、とか)場合はソースコードが公開されているほうが便利かもしれませんが、OSの選択は、その上に乗っかる業務アプリケーションの選択にも影響を与えるので、ベンダ特有のアーキテクチャで動作するパッケージソフトウェアを使いたい場合は、OSの選択にも影響があるでしょう。リソース(アーキテクチャ特有のスキルを習得しているエンジニアの層の厚さ)の調達のしやすさなども一つのファクターとなりえます。

そう考えていくと、社内のITインフラをどこまで共有化するか、業務アプリケーションの選択に対する各事業部(もしくはBU)の戦略はどんなか、等、OSの選択は高度なビジネス決定事項と言えるのではないでしょうか。

今回はユーザ側の視点で考察しましたが、サービスプロバイダ側がどうかについては、また機会を改めて。

Comments

Chuck

リンク(多分FPN経由だったと思います)を辿って、ふらっと訪れさせていただきました。。。

オープンソースか否か、というテーマは、ある意味、ベンダー、メディア等々が作った1つの対立軸であって、どこまでこの軸に囚われる必要があるのか? という気がします。
OSの選択だって、それがシステム導入にあたっての根本的な決定事項ではないですしね。(意思決定にあたっての制約要因にはなりえますが)
ですので、あまりこの点は詰めても仕方ないでしょう。要はどちらにも対応できるような心積もりと、準備を、可能なレベルで積む、ということしかないわけで。。。

「本質的なことはガバっと掴みにいって、細かい差異が大事なところはしっかりと詰めていく」
そんな雰囲気を、今後もこのblogから感じられればなぁ。。。と思っております。

四半期の方向性も拝見しましたが、これは非常にハードですね...
モデリングとその評価手法については、ぜひこちらも覗いていただければと。
http://www.ieice.org/iss/swim/jpn/

私自身は自分の考え方に基づいて、現在のところホームページ、blog等は開設しておりませんので、こういう、ふらっと訪れた形でコメントをさせていただきましたが、もし少しでも、何かお感じいただけるキッカケをご提供できましたならば幸いです。

Tomomi

Chuckさん、

コメントありがとうございます。

先にお断りしているように、私自身も、「オープンソース」がIT業界にどういうインパクトを与えるか、まだイマイチはっきり分からないんですよ。

ただ、今の時点で何となく感じているのは、少なくともSIerの立場で言うと、
「Solarisか、Linuxか」という選択は、
「Windowsか、Solarisか」という選択とは、
ぜんぜん違う次元の意思決定になるのではないか?と思っています。
技術的に似てる似てないじゃなく、商売のやり方が変わる可能性があるのではないか?という意味で、です。

だって、コカコーラのレシピを公開するようなものじゃないです?
ベンダがソースコードを全公開するっていうのは。

ただ、「コカコーラがどういう化学式か知っている」ことと、「一定の品質を担保しつつ大量生産し、ロジスティックス・ディストリビューションを確立する」こととの間には大きな溝があるので、ソースの公開、イコール、その分野のライセンスビジネスが成り立たない, とはならないというのには同意です。

自動車だってパソコンだって分解はできるし、そうすればどういう部品を使っているか確かめることはできる。型取りすれば、デザインだって真似はできる。ただ、製造業の場合、「試作品を、大量生産に乗せて、一定の品質を担保する」必要があり工程のエンジニアリングや、生産のノウハウ、というのが競争優位になりえます。
では、システム会社にとって、ソースコードがホワイトボックスになる、ことの意味はどうなんでしょうね?

一度でも開発やったことのある人間なら、「結局、ソース読まなきゃわかんないよね」って感覚があると思うのですが、裏を返せば、ソースを読めばかなりのことが分かる可能性があるということで。

オープンソースが本当にIT業界のビジネスモデルを変えるのか、現時点では以下の2つに注目しています。

・ソースコードを読んで、自ら何とかしようとするだけの能力をユーザー企業が持てるのか、持つ気があるのか。それが本当にユーザー企業のビジネスにとっての競争優位に繋がるのか、だとすると、どれぐらいのユーザーがオープンソースを採用しうるか。
・SIerにとってのオープンソースのベネフィットは、本当に、あるベンダのライセンス製品を売ることを上回るのか。


※ 申し訳ないのですが、Chuckさんのコメントを一部削除させていただきました。
このblogは、私Tomomiがオーナーママとしてやってる「あたしの店」ですので, ママのプライベートを根掘り葉掘り追及するのは勘弁してくださいね。実際、読んでくださってる方も、私の勤務先がどこかよりも話の内容に興味を持ってくださっているのがアクセスログで分かってますし。
何より、"About Me"に書いてないことは口にしない、薄々分かっても気づかない振りをするのがこの店のマナーということでご理解&ご協力お願いいたします(笑)

The comments to this entry are closed.