"Off-shoring" Manifesto/Rant: Sixteen Hard Truths
http://www.tompeters.com/toms_world/observations.asp
「エクセレント・カンパニー」「セクシープロジェクトで差を付けろ!」の、あの Tom Peters まで遂にOffshore Outsourcing について語っています。 なるほど、と思ったのは、
10. Big companies do not create jobs, and historically have not created jobs. Big companies are not "built to last;" they almost inexorably are "built to decline."
11. Job creation is entrepreneurially led, especially by the small fraction of "start-ups" that become growth companies (Microsoft, Amgen et al.); hence entrepreneurial incentives including low capital-gains taxes and high R&D supports are a top priority.
何度もこのblogで書いている気もしますが、1917年に「Forbes 100」だった会社100社のうち、87年にもForbes 100入りしていた会社は約3分の1。そのうち殆どが平均以下のパフォーマンスしかあげておらず、平均以上を維持し続けていたのは、たった2社 - KodakとGE - のみで、大企業が永続的に繁栄を続けた例はない(少なくとも最近のアメリカでは)ようです。しかも、商品ライフサイクルの短命化・市場の細分化が進む一方である以上、Entrepreneurship こそがこの国を牽引する、というPetersの主張は、目新しくはないにせよ、岩井克人の「会社はこれからどうなるのか」等にも通じるところがあります。
うーむ、と唸らされたのは、Petersが "worth noting/quoting" で引用しているノーベル経済学賞学者のRobert Solow(IT投資の規模と企業の生産性は比例しない、という「生産性のパラドックス」を唱えたことで有名)の言葉です。
"The notion that God intended Americans to be permanently wealthier than the rest of the world, that gets less and less likely as time goes on."
個人レベルの生活は自分で何とかするしかないので、まぁ、良いとして、世の中全ての人がうまくバリューチェーンの変化に対応できるのだろうか? 実は、私は確証を持てずにいます。しかしながら、民主主義の国では、その人の年収やスキルに関係なく、成人すれば選挙権を行使できるようになります。ごく少数の成功者が圧倒的な富を所有するこの国でも、選挙権は平等に1人1票、となると、当然、雇用は政治問題になるだろう…と、少し前から気になっていました。
※参考:私の過去エントリ「どうなる米国の労働市場」
しかし、
保護貿易主義が本当にアメリカのためになるのか?(ならない、という論調も最近見受けられます)
「アメリカさえ良ければ」的な一国主義がまかりとおるのか?
という問題があるため、このテーマは国際問題としての側面も大きく、一体、これからアメリカはどうするのか? 盛り上がっている大統領選の党員大会のニュースも、気になって仕方ありません。
そんなわけで、Entrepreneurshipのお膝元、シリコンバレーでも、
Outsourcing controversy gets some VC input
http://www.siliconvalley.com/mld/siliconvalley/8026798.htm
民主党の党員大会は、一般のメディアのみならずIT系の雑誌(CIO Magazineとか)でも取り上げられる一大トピックですが、blog界でも一躍有名人になった時の人・Dr. Howard Dean がアッサリ脱落し、当初はあまり注目されていなかった John Edwards 上院議員がじわじわと人気を高めているのは、Edwards 上院議員が、「雇用」にフォーカスした政策をアピールし続けているからではないかとも言われています。
アメリカでも有数のお金持ち家庭に育った共和党のBush大統領に対して、「勝てそう」ということで、民主党では、依然Kelly 上院議員が優勢のようです。確かに、軍隊勤務経験や反戦運動などの彼の経歴に安心感をおぼえる人が多いのも理解はできるのですが、イマイチ、Bush大統領に比べて新鮮味が薄いのでは? というのが私の個人的な意見で、「田舎から出てきた」「一族で初めて大学を出た」と、一般庶民にとって身近さをうまくアピールし、政治の世界での経歴の浅さを「ワシントンDCとのコネに左右されない」と印象付けられる点で有利なEdwards上院議員が今後も善戦するのでは、というか、まだまだ勝敗は分からないのではないか? と私は思っています。資金や組織票など、色々選挙を動かす要素は他にもあるのでしょうから、いちがいに政策だけでは何とも言えませんが。
#実のところ、Edwards上院議員だって、辣腕弁護士で、大企業相手の訴訟に立て続けに勝ち、相当な個人資産をお持ちのようなので、「庶民の味方」的なアピールはマーケティング上手だなぁという気もしないでもないのですが、それにしてもEdwards候補はプレゼン上手だと思います。私は口べたなので、プレゼン上手は一つの才能だ、といつも感心してしまうのですが。
政治関連の話も含めてまとまっている記事がEconomistに出ていましたのでリンク。
The great hollowing-out myth
http://economist.com/agenda/displayStory.cfm?story_id=2454530
ちなみに、Hollowing out とは「空洞化」のことだそうで、経済関連の記事を読むときに覚えておくと便利かもしれません(実は私も最近覚えたばかりなのですが)。